旅紀行 その②

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寒い小さな島を離れ南方に逃避行を決行する。
旅先では一体何が起こるのか、知るすべも無い。
ただただ安住の地であって欲しい事だけを願う。

美味い魚や桜色の肉を食したい訳でも無いし、愛が欲しい訳でも無い。
ただただ単純な理由があるだけだ。

人生を旅するってそんな事だろう?
多分、自分の居場所探しに他ならないのだろうと思う。

それにしてもANAの小さな機材は 快適だ。
多少の揺れはあるにしても居心地は悪く無い。
小さな窓からは刻々移りゆく景色に旅の不安と期待する情感が交差して妙に神経が昂ぶっている事も、寧ろ日常には無い嬉しさに変換されている。

雲海の絨毯の隙間から様々な地上の景観が変化して
その土地の河川や山脈の地理的な構造の成立ちまで
想像して悦に入っている自分が可笑しいくらいだ。
座席前のポケットに有る雑誌の地図を丹念に見てると
この国は火山による造成活動の結果だと理解できる。

「今、この辺りの上空ですよ〜」と、
とてもチャーミングなCAが親しげに指をさす。
少し不安なシャイな私も何となく和んでしまうのが不思議だ。

それに引き換え機長の突然のマイクパホーマンスである観光案内は興ざめと言う他は無い。
地上の運転と違い上空では暇かもしれないがなるべく可愛いCAにお願いしたいところである。

空の旅は速い。いや速すぎる。
もっとゆっくり飛んで欲しいなどと馬鹿な妄想をしてる間に中継地点に着くとアナウンスが入る。

まだ旅の途中だ。

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